CONTEST GUIDE BOOK VOL.2 1996-1997 掲載
コンテスト四方山対談 Part 2
〜8月某日、きゅうあ〜るえるの面々再び集う
U:え〜、皆さんお久し振りです。昨年の対談以来皆さんますますアクティブにご活躍のようですね。今日はこの一年で皆さんが蓄積されたマル秘ワザを思う存分語って頂こうと思いお集まり頂きました。今回もよろしくお願い致します。 L:みなさんお久しぶりですね。相変わらずバリバリ頑張られているようでなによりです。 O:あれからもう1年経ったんですね。今回もどうぞよろしく。 J:イヤイヤみなさんお元気そうでなによりです。今日も一杯やりながらお相手お願い致します。
>>> Part 1 運用のノウハウ <<<
◇エリア別運用術
U:コンテストでは運用の仕方でスコアが大きく上下しますが、エリア別に運用のコツは違ってくると感じます。みなさんの得意なエリアのノウハウをお聞かせ頂けたらと思います。
-1エリア L:1エリアからですとV/UHFは無尽蔵にQSOできますが、逆にHFはそれなりの設備を揃えないと苦しいですね。特に、サンスポットの少ないこの時期は、14MHzなどはほとんど呼びにまわるくらいです。また、Eスポが出てしまうとCQを出してもお呼びがかからないので、これまた疲れますね。 ALL JAのようなマルチ重視のコンテストは3.5,7,50MHzで局数を稼いで他のバンドはマルチを拾うような運用が良いですかね。 6&DOWNは昨年までは1200MHzのマルチのおかげでかなり優遇されていましたが、今年からはマルチが激減しました。50,430で局数を稼いで、あとは2400MHzでどれだけマルチが取れるかにかかっています。 FDはALL JA程マルチ重視ではありませんが、やはり一通りのバンドにはQRVできるようにしたいですね。このコンテストはなぜか他のJARL主催と比べてV/UHFの参加局が少ないので、局数があまり伸びません。 全市全郡は1エリアのためにあるコンテストではないでしょうか。Hi バンド数が多いので、3バンドくらいに重点をおいて稼ぐのがよいですね。電信電話ならばV/UHF、電信ならば3.5,7MHzが手頃だと思います。
-4エリア U:4からだと3.5,7Mでどれだけ稼ぐかがが勝負でしょうね。ハイバンドはEsが出ない限りマルチ拾い程度でよいような気がします。
J:4エリアではJH4U**シリーズが強力ですけど、6に比べて3.5MHzも稼げて、さらにEsも出る可能性もあって、CONDX次第で高得点が出ますね。
U:1からやっていたときは、JARL4大では7Mの電話で呼ばれることはほとんどありませんでしたが、先日のALL JAで4からでたら短縮DP+50wでも少し呼ばれました。また聞いた感じも1エリアで聞く程グチャグチャではないので電話の局数も伸びそうです。これはやっぱり有利ですね。
-7エリア
J:私は/7でよく出ますが、1との県境なので1エリアの移動局の様な感じです。とにかく21MHz以上のG.W.が頼みの綱です。大体1エリア〜静岡までは、カバーできてます。VUはうまくANTを振ると4、5エリアもマルチが取れることがあります。ただ、1首都圏と比べるとハイバンドの8エリアのマルチが取りにくいのが欠点です。1200MHz以上はそれなりの設備でないと難しいようです。
U:7や2は大票田の1が電離層反射で出来るので有利なんじゃないかな。
J:そうですね。7、2は1と接しながら南北、東西に長いので地域差もありますが、伊豆半島のように1とある程度距離がありつつもG.W.が活かせる所は有利だと思います。そういう所は1からでは取れない地方マルチも取れますからね。そういえばALLJAマルチMIXの歴代TOP2は、2、7エリアですね。
-8エリア0 O:8エリアからですと多少なりともEsが出てくれないとマルチバンドは戦えませんね。SLSくらいの局だとローバンドでも結構稼いでますが、やはりHFハイバンドで局数を伸ばさなければ上位は望めません。ハイバンドが大オープンしたときは「これでこそコンテストだっ!」て感じで楽しめますけれどね。 U:8のようにパイルを浴びるのは、あこがれですよね。遠路はるばる現地乗り込みされる方の気持ちが良く解ります。 O:私が札幌からALL JAに参加した場合、全交信の90〜95%が電離層波なんです。50MHzを含めてでもですよ。だからバンドQSYのタイミングはまさにコンディション次第ですね。コンディションの読みが外れると致命的な得点ダウンにつながりますよ。だからその時使えるバンドの内で一番高い周波数を優先していくわけですが、マルチを増やすためにはコンディションのピークだけでなく、落ちてきたときも狙い目ですね。今年のALL JAでは28MHzのEsが全く崩れてくれず、聞こえてくるのは1エリアばっかりだったんです。 U:たしかにEsが消えるときは散乱でいろんなところが聞こえてきますね。ところでロ−バンドはどうですか? O:7MHzは短縮DPに100Wですから結構辛いんですが、7エリアがスキップしてギリギリ1エリアが聞こえるような時間帯を狙えばパワーがなくても良く飛んでくれますので局数を伸ばせます。問題はマルチ稼ぎですね。他エリアの皆さんも8エリアのマルチ獲得には苦労されているようですが、それは8エリアにいても同じ事なんですよ。8の局はローバンドは夜にしか出てこないので、スキップして拾えず、昼間はハイバンドに上がってしまいますが、ここでも他エリアを稼ぐので精いっぱい。強力な信号に埋もれて道内のスキャッターが聞こえずといった具合です。また、ローバンドが苦しいという点では6エリアも8エリアも同じ条件と思われがちですが、7、8エリアよりは4、5、6エリアの方が局数が多いでしょうから近距離にしか飛ばない時間帯では8の方が不利と思います。他人の芝生だから青く見えるのかもしれませんが(笑)。ちなみに、FDは1200MHzのマルチ改正で8エリアからもマルチバンドでの上位が狙える様になったと思います。1200MHzが県マルチになっても8エリア勢は殆ど得点減になりませんからね。
◇呼ばれる運用術 −電話の運用 U:電話の場合、呼ばれ無くなったとき喋り方を変えるとまた呼ばれ始めることがよくあるのですがいかがでしょうか?たとえば早口のコンテストスタイルで呼ばれなくなったら、ノンビリしたテンポに変えると効果があります。 L:私はPHONEはバンドにより喋り方を変えています。HFや50MHzは多少早口でオペレートしていますが、430MHzなどはフォネティックコードがわからない人が多いので、アルファベットのみをゆっくり話すようにしています。また、発音もジャパニーズイングリッシュではっきりと話した方が間違わずにとってもらえます。 O:そうですね。430FMではフォネティックコードのCQで空振りした後に、アルファベット読みでCQを出すとパイルになったりもしますね。 J:しゃべり方は前回にも言いましたが、郷に入っては郷に従い、144MHzならそこなりの口調テンポで運用してます。もちろんパイルになればそれなりに捌きますがね。 U:あと私は、キンキンしたコンテスト声と落ち着いたお〜えむ声を交互に使ったりしています。これも変えた途端呼ばれ方が変わるので効果があるようです。マイクと口の角度や声質の組み合せでいろいろ実験すると面白いですよ。多分、皆さんそれぞれに呼びたくなる(拾いたくなる)好みの音質があるのだと思います。
−電信の運用 L:CWの場合は、3.5,7MHzはDXコンテスト並みのスピードでも結構応答がありますが、14MHz以上はあまり早くない方が良いようです。 J:CWのWPMはよく変えます。全然呼ばれてないのに高スピードでLOOPタイムも短くCQを出し続けている方もたまにいますが、何か浮いた感じがしますね。 O:WPMは少し早めでも符号の間隔を広めにとるとうまく伝わる場合があるようです。また、スローキーイングで呼んできた局にはこちらもゆっくり丁寧に送信すると、それを聞いていた他のビギナー局が安心して呼んできてくれたりしますよ。考えてみれば、私も始めは相手のコールサインから送ってくるナンバー、そしてQSO終了時に何を送ってくるかまでをコピーできてからCQに応答してたものです。 U:そうですね、やはり初心者からベテランまでまんべんなくお相手いただかないと局数はのびませんからね。
−もう一押しする運用 J:やはりお客さんはバリバリにコンテストやっている人ばかりではないので、チョイと「お声がけ」してあげようかと思わせる気持ちが必要なのでしょうね。 O:でも上位入賞を狙ってレート重視で稼ぐ局がたくさん呼んできそうなときには、結構速めにCQ出したりもしますね。常連局同志、特にきゅうあ〜るえるメンバー同志のQSOは7、8秒で終わることもありますね。 U:うん、やはりスコアを競っているのですから、お客さんが少ないときはゆっくり解りやすくして門戸を広くし、ある程度呼ばれるようであれば鬼畜のように捌いてレ−トを上げる、というやりかたが基本でしょうね。
−周波数の選び方 O:ところで自分がCQを出している周波数が本当にクリアーなのかどうかは注意が必要ですね。スキップして聞こえていないけど、実は同じ周波数にもう1局いたとか....。 J:14,21MHzのオープン時などは7エリアからでもこれはかなり気になります。それと3.5,7MHzのCWで自分の上下にどれだけの強さの局がどれだけ離れて(くっついて)居るのかをチェックして、微妙に周波数を変えて常時QRM最小に調整し続けるということは大事ですね。余り隣と離れすぎてもその間に入ってこられちゃったりするので用心ですが・・・。 U:隣の局の信号強度に応じて適切な間隔を保って、呼ばれつづけることは周波数を確保するためにも大切ですよね。呼ばれなくなるととたんに両側から押し潰されてしまいますから。
◇強い電波を飛ばす法 −ロ−バンド U:なんといってもスコアアップは強い電波を飛ばすことが肝心だと思います。そこで強い電波を飛ばすためにはパワ−アップ以外の要素も重要だと思いますがいかがでしょうか。 J:まず聞こえないとできないわけでANTが重要だと思いますよ。 L:ローバンドはパワーがなくちゃ駄目だと思われがちですが、やはりきちんとしたアンテナを上げることが大事だと思います。特に1.9や3.5MHzなどは地上高はなくてもフルサイズのアンテナだと聞こえ方も飛びも違いますね。それとアンテナの上げる場所によってもかなり違うようです。湿地の近くや田んぼの真ん中などは特によろしいようです。 J:強い電波と言うと誤解を受けるかも知れませんが、如何に効率よく飛ばすか、ということには腐心しますね。具体的には打ち上げ角ですが、逆V一つでも地上高による打ち上げ角の変化で飛び方が雲泥の差ですからね。 U:私の体験談なんですが、XPOのとき1の開けた丘の上に14mhの逆V(50w)をあげてやったことがあります。このときに4、5から聞くと、私の信号はS9なのに他の1エリアはSがほとんど振っていなかったそうです。パワ−アップで同じ事をしようとするとこれはもう大変です。この辺は移動族には良く知られているのですが、固定だとアンテナの実験の範囲が限られるのでこいつを体感するのは難しいようで意外と知られていないようです。 J:7MHzの逆Vを11mHから14mHに上がったら今までの最高の50マルチが取れました。某局は7MHzの30mH 3eleでは国内に落ちずに毎回WACが完成すると嘆いてますがそういうANTだからこそマルチもものすごく取れるのだと思います。ANTの違いで全然違うパスを使えるのだと思います。 O:ローバンドでビームと言うと結構大変ですが、DPや逆Vを使うにしても打上げ角は重要だと私も思います。上空300〜400KmのF層反射で数100Kmの伝播を狙うような場合もあれば、弱いEsが出ている中7MHzで1000Km以上飛ばしたい場合もあるわけで、具体的にどんな打上げ角が良いかというと難しいですね。 U:ということは昼と夜で高さを変えるのも面白そうですね。
−ハイバンド O:ハイバンドで夕方などに、どちらにビームを振ってもなんとなくスキャッターが聞こえるっていうのありますよね。多エレのビームを使っている局は何処へ向けたらいいのか迷うようですが、こんな時は多エレなら結局どこへ向けてもよく飛びよく聞こえているようです。多分、特定の散乱源にぶつてけいるのでマルチパスによる干渉がなく、双方スッキリ聞こえるのでしょうね。 J:最近は14-28のScの効率の悪さ、CQ出しても稼げないし呼んでも取ってもらえないし、パス自体に気が付かないことが目立ってきたので、ANTの改良を考えています。 U:Scの打率向上にはやはりアンテナの大型化しかないようですね。恥ずかしい話ですが50wで運用していても500wの局に呼ばれてなかなかとれないことがあります。こうした耳の良い方は例外なく大形アンテナを使っておられますね。 J:大きなANTにはかないませんが移動ですと重量的な限界がありますので難しいところです。Oさんは地上高下げても多エレ化したほうがよいのではとも言ってたと思いますが、そこいら辺が思案のし所ですね。
−VHF & up L:V/UHF帯のビームアンテナは、ダイレクトよりも反射や回折で思わぬ方向から強く聞こえてきますので、ビーム方向を探しあてることも重要ですね。 J:VUは完全にパワーよりANT重視ですね。某局の430MHz31ele*2でワッチした時はタマゲました。4、5エリアがローカル並に入感してました。富士山北斜面に当てる微妙な位置の違いで入感エリアが違うそうです。そういう運用技術があってからこそだと思います。
−ロスの軽減 O:トラブルの話になるのですが、HFのビームを持って移動した際にRFが回り込んで10Wも出せなかったことがあるんですよ。コンテスト開始ギリギリの設営だったもので調整できなかったんですが...。これではゲインだの電力だの言う以前の次元です。 U:発電機の御機嫌がわるいときなんかもパワ−が出なくてガックリきますよね。低い周波数では数dBでもパワ−の差を実感しますから。 O:要はパワ−を有効に空にだせばよいわけで、ロスを無くしていくだけでパワ−アップと同じ効果が有るわけですから重要かと思います。マルチバンド移動局などではアンテナ間の干渉が結構ありますし、SHFではケーブルやコネクターの不良による電力ロスとか。いずれも数dBのオーダーになりますよね。 J:タイヤベース2個踏んで上げたりですので狭い空間にきわどくANTがひしめき合いますから、干渉し合って各々1つのANTとして動作してないような気もします。干渉を最小になるようにうまく展開し調整するのも大事ですね。それと50MHzで同軸を新調したらマルチが増えましたのでロスもばかになりません。 O:やっぱり設備が本来持っている性能を十分引き出すのが第1歩ですね。
◇コンピュ−タ vs 手書き U:トップレベルでもコンピュ−タ派と手書き派に分かれるようですが、それぞれのどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか? L:私の場合は手書きでオペレートしています。コンテスト終了後、提出ログはZLOGに入力してプリント出力しています。理由は、あまり楽をしてしまうと、手持ち無沙汰から夜中に眠気に襲われてしまいそうなためと、コンテスト中の思わぬ誤操作によるログ破壊防止、長年の慣れ、次回以降の戦略を立てる際に手書きログの方が自分の必要とするデータがその都度書き込めるため分析に役立つといったことからです。コンピュータログは、リアルタイムに得点が見れてコンテスト中の緊張感を保てる、提出ログの作成が早い、CWの打ち間違いがない等のメリットがある反面、思わぬ誤操作によるログ破壊といったリスクもあります。手書きならばそういったトラブルは回避できます。 J:データトラブルが恐くて躊躇していましたが、一度使い始めるともうあともどりできませんね。QSO数が少ないものはまだ手書きでやってますが、少なくともJARL4大はzlog無しではもうやりたくないですね。 U:競技的には一長一短があると思いますが、事後処理の時間の点で私もコンピュ−タなしではやっていけないです。 O:データ破壊防止の対策を十分に行った上で、コンピューター+手書きメモがベストと私は考えています。フォーンの場合スタンドマイクとフットスイッチのPTTを使用してるので、RITの操作以外は送受信時とも両手がフリーなのです。左手はキーボード、右手はボールペンを目指していますが、なかなか技量が追いつかないですな(笑)。 J:Lさんのオリジナルログを見せてもらったことがありますが、色ペンでカラフルなログでした。 L:私の手書きログを簡単に紹介しますと、バンド毎に色ペンを使い分けていす。また、準メジャーなコンテストやローカルコンテストでは、CQに対して応答があったQSOや相手局のQRVしている周波数などもメモしています。それに途中のライバル局とのQSOで情報交換した内容(QSO数等)もメモれるので後からみて分析に役立っています。 O:zlogとかでもこちらから呼んだQSOとCQ出して呼ばれたQSOが後で区別できたらもっと便利ですね。
O:2バンド同時ワッチをする場合などは、コンピューターロギングでは不便なことがありますね。あるバンドでランニングしながら、局数の少ない2400MHzなんかをワッチして未交信局を探すなんてケースはよくありますよね。こういう時は手書きの方がやや便利かなとも思います。 U:そうそう、手書きのデュ−プテェックシ−トだと一目で未交信がわかるので、2バンド同時運用や呼び回りのときの能率はかなりよいと思います。 J:また手書きの方が一度にCOPYできる文字数が多いのは、確かだと思います。手書きの頃の50MHzを捌くときは、1局ソリッドコピー+2,3局一部コピーで、 JM1 JA1ZLO P/1 捌けましたが、zLogになってからは、1局ソリッド+他に呼んでるな、止まりにしかなりません。私の技量の問題もありますが。 U:これは呼び回りのときも同様で、1局ずつコピ−→デュ−プテェック→QSO→ワッチとなるので能率が悪いです。デュ−プテェックで未交信とわかった局を(メモリにいれて)リストアップして呼び回る場合は手書きのほうが早いですね。
J:デュープチェックの問題がなければ手書きでよいのですが、私みたいに呼び回る事が多いと、後半戦のデュープ判断が面倒です。某局はニューマルチしか呼ばないらしいですが、そのくらいの強気の商売ができればいいのでしょうけど... U:う〜ん、それはそれで理想的な作戦ですねぇ。
J:zlogは各バンドのQSO*マルチ、総得点がリアルタイムに正確にわかるので、時間配分の修正などがスマートに出来る反面、できの悪さも正確なので諦めモードに移りやすいという面もあるかも知れません。 O:総得点のリアルタイム表示はコンピューターロギングの特長ですね。クラブメンバー同志のQSOの際、その時点での総得点を比べたりもしますが、これが僅差だったりするとスリルと緊張感があって楽しいですね。Uさんとはもう何度も僅少差のスーパーバトルがありました。 U:正確な途中経過を情報交換することで、守ったりカケにでたりとその場の判断で作戦を変えるのは最高にスリリングですよね。こういうのもコンテストの面白さの一つだと思います。
◇シングルバンドの楽しみ方 L:お手軽にコンテスト参加するには、シングルバンドは手頃だと思います。アンテナも1本で十分楽しめますからアパマンハムでも入賞の可能性が大いにあると思います。 J:シングルバンドや参加局数が限られているマイナーのCW部門などは呼び回りが重要だと思いますね。CQを止めて呼びにいく頃合のとりかた、その勝負のかけることが面白いと思います。その時ライバルの空振りCQを聞いてウッシッシとね。 U:手軽な反面シングルバンドの常連さんの技術には深いものがありますよね。 J:シングルバンドはライバルに差を付ける要素が少ないので工夫の凝らしようが大変ですよね。 O:私は以前はALL JAはずっと21MIXで参加していました。コンディションの変化に富んだバンドですので、24時間じっくりと電離層と対話をするような感じの楽しみ方をしていました。ノイズや入感エリアの変化を観察していると目に見えないはずの電離層の様子が目に浮かんできます。残念ながら、各バンドの美味しいトコだけいただくマルチバンダーになってからは、この楽しみ方が出来なくなってしまいましたけれど。 U:これは大切なことで、皆さん故郷みたいなバンドを持っていてこうした経験をしているんですよね。これが自然とバンド別の得手不得手に出てきて戦法も色々になるので面白いです。 J:これは最近ヒシヒシと感じます。マルチバンドのスコアを伸ばすため、今一度、苦手なバンドのシングルバンドをやろうかと思ってます。 O:シングルバンドの場合、移動でも結構大きなアンテナにすることができますね。50〜430MHzのシングルバンダーはかなり大掛かりなアンテナを上げる方もいますが、HFとかでも負けないくらいのをチャレンジしてみてもいいと思います。
◇スコアアップのポイント U:スコアを伸ばすためにその他具体的にどのような点(運用/設備)を工夫していまか? L:マルチバンドの場合は、ひとつのバンドに固執せずムラなくQRVするように心掛けています。また、その時のコンディションによっても運用パターンが変わりますので、いくつかのパターンを想定しておくことも大事ですね。 J:私は大筋の運用プランを立てて、目標を設定しておきます。計画したバンドプランとzlogの得点表示を見比べ余り偏りの無いようにまとめて行ってます。もちろん調子の良し悪し、CONDXによって修正していきますが。後は寝ないことかな。(笑) U:若いな〜、私は1時間くらい仮眠をとった方が能率が良いです。年だな〜。 J:それと運用しながら食べることかな。前は24時間全く食べなかったのですが、食べた方が体調維持の点から良いようです。CWを運用しながら食べてます。 U:この辺はスポ−ツと同じで、適度なカロリ−と水分補給が集中力の維持に重要ですね。ビ−ルで両方一度に済ませるという作戦もあるようですが(笑)。 O:私はコンテスト中は殆ど食べないんですよ。スタミナドリンクを飲むくらいです。でもこれからは少し意識して食べるようにしようかな。 J:あと疲れないように姿勢や動作が最小になるようなセッテングにも気を付けています。 -ALLJA J:稼げるバンドでのレートアップと、Scをいかに拾い、呼ばれるかかな。 U:弱〜い局を丹念に拾ってマルチを増やすことでしょうね。 O:やはり的確なコンディションの読み!(最近全然当たらないけど。) -6&D U:あたりまえの話ですが、給電系のロスやトラブルに神経を尖らせることが最大のポイントだと思います。また運用面では、ビギナ−の多い430M、ベテランばかりのSHFとバンドの個性がつよいのでこれに併せたオペレ−トが大切ですね。 J:去年までは1.2/2.4勝負だったようですが、今年からは2.4の運用度合と、50のCONDX変化対応、144、430のマルチゲットのための技術かな。 -FD U:体力!! J:涼しい時間にANT上げをすること、BEERを飲み過ぎないこと、Lさんのように直前に温泉に入りに行かないこと(笑)。 O:このコンテストのマルチ部門は、特に多くのバンドで県マルチを集めなくちゃならないから、バランスのとれたアンテナ設営とオペレ−トが要求されますね。 -ACAG J:レートを保つのための状況に応じたバンドプランかな。話はそれますが1エリアは使えるバンドが多いので有利です。区マルチ廃止やバンド数限定マルチ部門とかで少し是正することも要検討な気がします。 U:思い切ってマルチをグリッドロケ−タに変えるとかはどうかな? >>> Part 2 移動のノウハウ <<<
◇移動運用時の混信妨害等の実際と対策 (御近所と仲良くする法) U:移動運用すると歩いて行ける範囲に何局もいるので、混変調等は我慢かビ−ムで逃げるかしかありません。強電界に強い無線機選びの大切と思います。 L:そうですね。特に6m&DOWNの時には、1エリアの主な移動地は超過密状態となりますからね。でも、我々のように派手にアンテナを上げていると、逆に普通の人は『こりゃ近寄ったらたまらん』とばかりに影響のないところで運用しているようですよ。 U:あるある。でもどうしても近所になる場合は、尾根をはさんで設営してもらえば影響は無視できるくらいになることが多いようです。地方ではプリが標準装備なので鋭いビ−ムが必要かなぁ...
◇移動運用時の実際 U:今回は「最強移動局」であるJさんの ALL JA 移動設備の変遷をご紹介頂きましたのでご覧ください。わたくしの 6m & down 全国優勝への道もド〜ゾ。
>>> Part 3 固定のノウハウ <<<
◇アパマン設備で飛ばす法 L:私は就職して10年になりますが、会社の寮や団地、マンションと転々としてきました。幸いにも全て最上階だったために、いろいろとアンテナを設置してきました。例えばベランダから水平に出したバーチカルタイプのアンテナやL型GP,多バンドGP等を使用してきました。現在は屋上に7MHzの針金ダイポールを上げていますが、屋根から60cm程度にもかかわらず結構飛んでいるようです。Hi J:HFも5階くらいの地上高があるとずいぶん飛びますね。 O:私も短い間でしたが、寮の5階のベランダに釣竿2本で14MHzのV型DPを仮設していました。これでJA5コンテストに優勝できたことがあります。それから1.9MHzもやったことがありますよ。寮の屋上にDPの給電部を取り付けて、エレメントの両端は道路を挟んで公園の木と林に固定したフルサイズです。ノイズを拾いやすく受信が大変でしたがよく飛びました。これで広島WASに優勝。流石に人目が気になり、暗くなってから設置し夜中の内に撤収しましたが(笑)。 U:高い方の周波数だと、以前は山の麓(川崎多摩川沿い)の社宅に居ましたが、4階のベランダアンテナでも東京UHFで優勝したことがあります。ですからアパマン設備も馬鹿には出来ませんよ。 J:そう、意外と50〜430って山に登っても家からやっても驚くほどは差が付かないですね。これは最初半信半疑でしたが経験してみて驚きました。
1995 6&D 標高1100m (全国1位) 50 144 430 1200 329/16 117/11 299/12 494/131 平地屋根馬 134/13 161/15 279/12 328/103
50MHzはTVIのため、QRVを控えたので差が付きましたがそれ以外はまあまあです。 O:そうですね、山に登っても東松山の固定局に430MHzで負けたりしますし。 J:アパマンからHFを含めたマルチバンドは大変かも知れませんが、VUマルチやHFのシングルバンドなら工夫次第ですね。
>>> Part 4 楽しみ方のノウハウ <<<
◇このコンテストが面白い! … コンテスト別の醍醐味の紹介 J:規模の大きさではJARL4大にかなわないでしょうから、他に面白いものというとルールに特色のあるものでしょうか。電力制限のあるもの(なす電信、QRPCW)、短時間物(JCCC、電通大)。その他にはKCWAなんかも好きです。 L:JARL四大コンテスト以外では、短時間でそこそこ呼ばれるコンテストによく参加しています。地方支部主催のコンテストでは3〜6時間くらいのものが、時間も手頃で気力も持続できてFBだと思います。例えば、オール埼玉や千葉、神奈川などを県内から参加してみるのも良いと思います。 O:時間当たりのQSO数が多いコンテストは面白いですね。短時間のコンテストでもでも40局/hrくらいのペースがあると充実感がありますね。 地方コンテストに県外から参加する場合でも、時間の割に県内局のエントリーが多いコンテストが楽しめると思います。前回の結果表を調べれば判断できますね。 L:地方本部主催(エリア主催)のものは、ナンバーにJCC,JCGを組み込んだものが多いので、アワードハンターに限らずともAJAやJCC/JCGを増やすのに打って付けです。特に最近は珍市、珍郡に移動して参加する局が増えていますからね。 J:現地乗り込みも多くなりました。苦労して移動する甲斐は十分にありますからね。
O:開催時間帯が早朝とか、夜だけとかのコンテストも休日の家族サービスにあまり影響しない点でいいですね。オール神奈川、電通大、オール横浜などはいかがでしょう。 L:一般クラブ主催のものでは、UEC(電通大)やオール横浜などが局数も多くて面白いですね。また、KCJはV/UHFとHF,トップバンドに別れて開催されていますが、このコンテストはお互いのログ提出があって初めてポイントになるので、結果が出るまで楽しみなコンテストです。 O:特にレベルの高いマニア向けコンテストや、逆にビギナーでも参加しやすいコンテストもありますのでこういった観点で選んで参加するのもいいですね。KCWAや電通大はかなりシビアな戦いになりますね。 J:皆さん自分の気に入ったコンテストには毎年出てくるようです。好敵手がいる、なかなか勝たしてもらえないコンテストというのが、面白いかもしれません。 U:私は国内とDXが同時に出来るのも楽しみが多くて面白いと思います。手軽なところではKCJとかARRL10mとかがお勧めかな。 ◇コンテストと家庭や仕事を両立する法 −アマチュアはよき旦那であること!? L:そういえばここにいる方々はみな既婚者ですね。みなさん家族対策のお話をお聞かせ願えませんか。 U:この春から固定中心でやっていますが、家族Iでなかなか集中できません。その点移動は邪魔が入らず競技向けでよかったですね。 J:そう、移動に出かけてしまった方がいいようですね。こっちも途中でなんだかんだ言われないし、一人で夢中になっている姿を見せない方が向こうも腹が立たないようです。 U:そうみたい、ウチも「一人で夢中」にカチンと来るみたいですね J:QSLやCGBの表紙デザインをやらしたりしてますが、どうも何等か一緒に出来る部分があるといいようです。 L:本格的に参加するには、やはり家族Iのないところでやりたいですね。JARL主催コンテストの場合、コンテスト24時間に準備やらあと片付けなどで、どうしてもまる2日間はフリーに活動したいので、日頃のサービスが重要です。特に子供が生まれてからは、XYLのご機嫌とり以上に子供とのコミュニケーションが大事だとつくづく感じています。普段は自分なりに努力しているつもりですが、XYLに言わせると『全然話にならない』レベルだそうで、いつも愚痴をこぼしています。まあ、こういう愚痴を聞いてあげることで少しはストレス発散になるようですが、その分こちらは溜まり溜まったストレスをコンテストで発散しています。Hi J:やはり日頃の行いというか、家事手伝いをイヤな顔せず進んでやっておくということになるでしょうか。 O:私も家族を持つ身の大変さが少しだけ分かってきましたよ。3日間も家を空けてメジャーコンテストに移動で参加するとなると、携帯電話が必要だと言うのも納得です。私も最近泣く泣く購入しました。 J:それとコンテスト、うちのXYLは「大会」と呼んでいますが、その大会がどれだけスゴイものなのか、そこでダンナがどれだけ頑張っているのか、多少誇張を含めてでも、応援してあげようという気にさせることでしょうか。 O:XYLには「僕以上にのめり込んで頑張っている人達もいるんだよ。」という点をそれとなく伝えています。うちのXYLの場合、「Jさんの奥さんは理解があってとってもエライ!」という印象が強いらしく、以前一緒にJさん宅にお邪魔したことが功を奏している様です。感謝、感謝。 J:あとは「Lさんは自分よりもっと無線ばかりやっているんだよ」と悪者を一人作ることでしょうか。(冗談です) U:わはは、そういう意味では私もきゅうあ〜るえるに入って随分やり易くなって助かっています。 J:それと独身の時と違って¥も自由に使えるわけではないので、設備増強もままならなくなりますね。今年やっと2.4Gセットを買います。「もう持ってないのはうちだけなんだよ」と、もう小学生のような説得です。hi
−お仕事も大切です、よネ L:仕事との両立は家族以上に不確定要素が多くて難しいですね。特に、急な仕事が飛び込んできたりして泣く泣くコンテストを諦めたということも多いです。幸いにもJARL主催に関してはこの五年間、何とか参加しています。私の場合、就職して数年間は仕事主体でしたが、やっと最近になって、自分のペースで仕事の調整が図れるようになりました。どうしても入社してある程度の期間は上司の言われるがままになってしまいますよね。 U:たしかに仕事を自分でマネ−ジメントする立場になることがコツでしょうね。自分がいない間を任せる部下を育成することも必要かな。出世のためではなくて無線のためにですよ(笑)。 O:職場環境という点では今のところ私は恵まれているほうですね。職場の先輩にもう一人コンテスターがいまして、コンテスト前後には上司にもそれとなく伝えてくれているようなんです。 J:幸い自分で都合を付け易い仕事のため4大コンテストの前後は大抵有休を取れてます。しかし、段々組織の中での位置づけが上がってくると返って休みが取れなくなるような気がします。 O:私の職場も快く有給休暇を取らせてもらえるんですが、休み明けに出社すると「それで、今回の大会はどうだったの?」とか聞かれます。理由はバレているんですね。 O:無線には全く無関係な会社なんですが、10人程の部署内にコール持ちが4人、従免持ちも含めると6人いるんですよ。 J:地方転勤なんかも無線を楽しむにはいいかななんてことを思ったりします。単身で行ってネといわれそうですが...hi
−・・・−
U:今回も楽しい話をいろいろとありがとうございました。話は尽きませんが、またコンテストガイドブック Vol.3 でお会いしましょう。