2008.12.12 版
コンテスト 闇の辞典

Remember, a Jedi's strength flows from the Force. But beware. Anger, fear, aggression. The dark side are they. Once you start down the dark path, forever will it dominate your destiny. - YODA


【序文】

コンテストは第三者がその場に立ち会っての審査監視をうけることが極めて稀であり、自己申告と事後審査を基本とした競技である。参加者はこの点を十分に理解し、自らの良心に従い己を厳しく律して競技に参加している。その一方で、自己申告・事後審査であるがゆえに意図的な不正行為に脆弱でもある。不正はスポーツマンシップに反するばかりか、競技の健全性を損なう許されない行為であることは言うまでもない。しかしながら、この弱点を悪用する不正行為が少なからず存在してきたこともまた事実である。
不正は未熟で脆弱な精神から生じるものであり、また不正で得た結果に価値はない。全ての参加者が、正々堂々と競技に参加して競い合う楽しさを知り、不正行為の誘惑を立ちきり、健全な競技が実施されることを心より願う。


【あ〜お】

アンカバー(UC)
免許を受けていない不法無線局。転じて、虚偽のコールサインを使用する局。
コンテスト中に参加者のコールを騙るUCは、競技中のマラソンランナーを邪魔するに等しい卑劣な妨害行為である。
UCとQSOした局は、@本物をもう呼んでくれず、A本物が呼んでもQSOB4でNR交換してもらえない。@については対策はない。Aについては、相手がQSO済みでも、QSOB4と送らずNR交換して得点を0としてログに記載することでスコアへのダメージを防げる。よって、DUPEに対してはこの方法を推奨する。また、DUPEは相手がミスコピーをしているケースも多いため、こうしてログに記載しておけばクロスチェックでミスコピーが容易に判明するメリットもある。

オーバーパワー
免許を受けた空中線電力以上で運用すること。
コンテストは空中線電力が大きい方が有利となることが多いため、より高いスコアを得るために行われる違法行為。
電力の大小でスコアに与える影響は、遠距離通信や混雑したバンドほど顕著に表れるため、こうした条件下では単にパワーだけでスコアを上げることが容易となる。また、第三者による検証が困難なことを悪用して、容易に行われる傾向がある。
オーバーパワーを犯した場合、多くの場合は以下のパターンをたどる。
1)いくらパワーを注ぎ込んでも運用技術等が未熟なためスコアが上級者に達しない。自らの未熟を棚に上げ、自分よりスコアが良い局をオーバーパワー・水増し等の不正局と決めつけ、ふてて飽きる。まれに、まだ電力が足りないと勘違いし、更なる出力増を繰り返すケースも見られる。
2)上位に入賞することで違法行為を犯しているという意識がなくなり、コンテストではオーバーパワーは容認されていると信じこんでしまう。堂々とやりすぎて世間に知られコンテスト界での名誉を失なったり、近隣の電波障害等で違法行為が世間に知られ、社会的な名誉を失うこともある。
3)不正を恥じ正規に免許を得る。

コンテストは得点の最大化を図る競技である。固定局、移動局、超短波、マイクロ波帯それぞれで設定された最大電力以上で、どれほど得点が増加するかを実験したくなることは、純粋に得点の最大化を追及する競技者にとってしばしば遭遇する誘惑であり注意が必要である。

【さ〜そ】

シングルオペレーター
コンテスト中の全ての運用に拘ることを一人で行う部門。
すなわちコンテスト中に第三者から未交信マルチ情報等を得て交信すると違反となる。クラスターや友人からの未交信マルチもしくは局の情報を得てQSOしてはならない。「ちょっと位は」の甘えが結果の価値を貶める。こうした情報源はあらかじめシャットアウトしておくことがシングルオペレータ部門の常識であるが、assisted部門やJIDXなど第三者からの情報提供を積極的に活用すること競う分野もある。意志の弱い向きは最初からこちらの分野に参加すれば健全に競技に参加できる。
電信の場合は運用者を特定しにくい点を悪用し、複数名で運用しシングルオペレーター部門に得点申告するという悪質なケースもある。しかし、注意深く運用の癖をワッチすれば一人で運用しているかどうかは概ね判断できる。

セルフスポット
Runningしている周波数を自分自身でスポットすること。
QSOを増やすためには有効ではあるが、制限がないと”やらんきゃ損々”とオンエアのCQと同様のスポットの氾濫を招くことになるため、DXコンテストでは禁止されている。自分自身のコールでなくても、なりすましや依頼など、自分を呼んでもらうために積極的にスポットをしたり依頼することは、実質的にセルフスポットである。フェアでない、慎むべき行為である。一方で、この見分けがつきにくいため、フェアなコンティングにスポットは害であるという議論もある。また、IPの追跡などのセルフスポットの事実を調査する努力も行われている。
しかし、どのように偽装しても、スコアに影響を与えるようなセルフスポットはすぐわかる。こうした行為は信用と名誉を失うだけである。

【な〜の】

ノン・アシステッド
シングルオペレータ部門で、オペレータ以外の助力を一切得ないで運用する部門のこと。
パケットやサブオペなどの第三者から未交信の局の情報を得る運用形態にはアシステッド部門が用意されている。ノンアシステッドに参加する場合は、クラスタやインターネットに接続してはならないし、第3からの情報提供もシャットアウトしなければならない。
当然、アシストがないよりあるほうが得点は多くなるはずであるが、ほとんどのコンテストではノンアシステッドのほうが高得点であるという逆転が常態化している。モラルの向上が望まれるところである。

【ま〜も】

水増し
虚偽の交信を計上することにより実際よりもスコアを増やす不正行為。
運用技術・設備の結果としてのスコアを自己評価できない未熟な精神構造を持つものが、順位で目立つためだけに行う幼稚な自己主張。従来は宣誓による得点申告が尊重され見過ごされていた時代もあったが、近年審査技術が発達してきたため発見も容易となり、失格等の処罰の対象となる場合が増えている。

【ら〜ろ】

ローパワー部門
実際に運用した出力によりカテゴリーがわかれている場合の小出力の部門。多くのDXの場合150w以下、JARL主催の場合10w以下がローパワー部門となる。
出力を偽りローパワー部門やQRP部門に参加する不正は、正規の参加者の努力と挑戦を踏みにじる行為である。健全な社会人としての想像力や良心に欠けた未熟な精神から生じる悪質な不正である。


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